刑事ドラマが好きだった。何はなくとも「太陽にほえろ!」である。もの心ついて見ていた番組と言えば「刑事くん」。刑事くんの名前は忘れたが、「時村さん」というボスの名前はまだ覚えている。「太陽にほえろ!」は後に取っておくとして、よく見ていたのは「夜明けの刑事」である。坂上二郎の演じる鈴木刑事の「超」人情刑事ぶりが鼻についたが、ボス役の石立鉄男のキャラが立っていて、石橋正次と鈴木ヒロミツのコンビネーションも素晴らしくて印象に残っている。(多分、これって大映テレビ室?)
強烈な印象があったのは、これぞ刑事ドラマのヒーロー中のヒーローである会田刑事(天知茂)、「非情のライセンス」である。彼の所持していた無限連発銃の迫力、どんな巨悪も最後の一分間でぶち殺してしまう爽快感。毎回が最終回のような破滅的なラスト。本当はどんな話だったかよく覚えていないのだが、眉間に縦皺を寄せた会田刑事がたった一人で政治家や大社長の部屋に乗り込んで銃を乱射して悪党を退治するという記憶しかない。きっと裁判ではいつも酷い目に遭っていただろうなぁ。銃を乱射すると言えば「ワイルド7」。拳銃ではなくてひたすら機関銃を乱射していました。劇画は好きだったのだが、バイクが貧相だったのでどうもワイルド7らしくなかった。へボピーのバイクがリヤカーで自転車のタイヤを運んでいるみたいにしか見えなかった。
渡哲也主演の「大都会」。毎回、フラストレーションが溜まるすっきりしないドラマの連続で、「Gメン75」的な展開でした。それはそれで重厚な劇判とともに良かったと思います。「キーハンター」等の陽性なバラエティも好きでしたけどね。黒岩軍団が大門軍団になった後の「西部警察」は正直余り見ていない。劇判もいまいちだと思うし、銃声が迫力がなく嫌だった。銃声のエフェクトで納得がいくのはなんと言っても「ルパン三世」だと思います。「西部警察」の功績はキャップこと立花藤兵衛に最後まで正義の味方役者としての花道を用意してやれたと言うことではないでしょうか。合掌。
「俺たちの勲章」はほぼ全部見ていました。ジーパン刑事がよりワイルドにハードになって蘇った中野刑事が格好良くて、毎回頼もしく見ていました。とはいえ青春「俺たち」路線の本作はやたら挫折していたような気がします。コンビ物としてとは実にいい感じでした。草刈正雄と田中邦衛の「華麗なる刑事」なんかより実にキャラが立っていたと思います。
最後の最後に間に合ったのが「特捜最前線」でした。たまに見る度に強烈な感動を味わいました。後に役所広司主演の「刑事追う!」がその路線を引き継いだようでした。最後の社会派刑事ドラマかもしれません。「はぐれ刑事純情派」は「京都殺人案内」の偽物のように見えてしまうので馴染めません。「あぶない刑事」そのものは決してバラエティではないのですが、タカとユージのキャラクターがあの名作映画「チンピラ」のジョニーと恭平のキャラの延長線にあるような気がして、これまた馴染めなかった。村川透が映画版でタカのガンファイトに「遊戯シリーズ」のような長回しをしても、感心はできなかった。馴染めなかったせいか、あの二人の主役の性格の違いがつかめなかった。「十津川警部」シリーズは愛川欣也がヒューマンに亀さんを演じるテレビ朝日のものと渡瀬恒彦がハードボイルドに十津川を演じるTBSのものと二種類ある(本当はもっとある)が甲乙つけがたい。間を取ってフジテレビあたりで愛川と渡瀬を組ませて番組を作ったらどうだろうか。欽ちゃんファミリーがテレビ局を横断して欽どん、欽どこ、欽曜日のスペシャルをやっていた時のように。西村京太郎ならば面白そうだと賛成するに違いないと思うのだが。これも全日と新日のプロレスの交流戦が出来なかったみたいなものでテレビ局のメンツによる迷惑なのでしょうか。
ちなみに日本でSW44マグナムが似合う刑事と言えば「燃える大捜査線」の杉良太郎と「親子刑事」の村野武範、「俺たちの勲章」の松田優作、後は「西部警察」の寺尾聡くらいしか思い浮かばない。SWではないがマグナムというと思い浮かぶのはルガーブラックホークというシンプルな銃を扱う劇画の「ドーベルマン刑事」である。テレビ版で黒澤年男主演の「爆走!ドーベルマン刑事」と言うのもあったけど、ドーベルマン犬を連れた黒いバイク乗りといった印象しかない。まして映画版の主演者千葉真一は豚を連れたいなかっぺ大将といった印象でしかなかった。テレビ版にしろ、映画版にしろ、ああまで原作と違うものに、「ドーベルマン刑事」という題をつけてしまってよかったのだろうか。大いに疑問である。映画で横山やすしが演じた「ビッグマグナム黒岩先生」もありました。でも、あれは教師であって刑事ではなかったか。そうそう、パイソン357マグナム8インチかな、「仮面ライダークウガ」の一条刑事も忘れてはいけません。
東映三大刑事と言えば「ロボット刑事」「宇宙刑事」「スケバン刑事」です。これらの話は通常の刑事物の枠を越えてしまうので別な機会にするとして、いよいよ「太陽にほえろ!」の話をしようと思いつつ、長くなりましたので「つづく」です。)
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