魅惑の古雑誌2

  大学時代のグラビア誌と言えば小学館の「GORO」(1992年1月廃刊)。篠山紀信の「激写」発祥の地です。「別冊BIG GORO 激写」はお菓子系グラビア専門誌の走りでした。アイドルと素人娘が同じ感覚で掲載されてしまうコンセプトが新鮮だったのかも知れません。すべては篠山紀信ありきということでょう。そもそもGOROは明るい、軽い、緩いDT雑誌でした。中の写真を公開するのはまずいでしょうが、表紙くらいは許されるみたいなので、紹介しましょう。興味を持たれた方は古書店で探してください。

          

 1980年5月号の表紙は元真田広之夫人の手塚理美クン(激写的物言いだとこうなるのです)。なんたる美少女ぶりでありましょう。生涯、真田広之夫人として添い遂げてほしかった。続く1980年12月号の表紙は宮崎美子クン。ピカヒカに光っている頃の彼女です。でも、宮崎美子は今も代わってないですね。あの頃のイメージのままです。立派です。そして1981年12月号。川村ひとみクンが表紙です。この子はその後モデルになったみたいですが、行方は杳として知れません。いや、知りたくありません。

  

 哀愁の3DO専門誌。「3DOマガジン」です。創刊号(1994年5,6月合併号)と廃刊号(1996年5,6月合併号)の表紙です。パナソニックの忘れたい古傷、3DOです。この創刊号のなんとも威勢のよい、はしゃいだ輝き。中身は新時代の到来を高らかに歌うものでした。それがサターンやプレステの追撃の前に日に日に敗色が濃厚になる3DO。当時の追いつめられていく3DOの状況が逐一反映され、パナソニック敗北の証言者となっています。一時はサンヨーからも出ていた3DOマシンは消え、東芝は参加を回避し、最後の希望だったM2システムも間に合わず3DOは沈没。ソニーはここでVHS対ベータ戦争の借りを完全に返すことに成功したのです。

 角川映画のパブリシティ雑誌、「バラエティ」がいつ廃刊になったのかは知らないのですが、こちらはその増刊。角川映画大全集(1986年6月増刊号)です。角川映画十年のメモリアルとして表紙が当時売り出し中の野村宏伸。表紙は江口寿史のイラストですね。他に原田知世、裏表紙では真田広之と薬師丸ひろ子となっています。時代を感じさせます。内容は「バラエティ」の編集部が総力を挙げたという感じで資料性はともかく楽しいムックとなっています。1985に「バラエティ」が行った愛読者投票による角川映画のベスト10がありますので、引用しておきましょう。「バラエティ」の読者層がわかります。

順位

タイトル

得点

時をかける少女

570

Wの悲劇

380

野性の証明

290

愛情物語

285

蒲田行進曲

248

早春物語

243

セーラー服と機関銃

195

二代目はクリスチャン

174

里見八犬伝

161

10

天国にいちばん近い島

121

 いかに角川がアイドルに乗っかっていたかがわかる結果です。「二代目はクリスチャン」が公開が近かったせいでランクインしているのが、このラインナップからすると異色に感じます。角川アイドルが出演していない「蒲田行進曲」がランクインしているのは「バラエティ」愛読者たちの良心でしょうか。角川非アイドル系のこの両者がどちらもつかこうへいの原作・脚本であるというのも面白い。もう一つの共通点は志穂美悦子が出演していること。あれ、彼女は「里見八犬伝」にもでてるなぁ。

    

 こちらは「テレビジョンドラマ」(1987年7月号)です。土曜ワイド劇場10周年記念企画号として、様々な特集や放映データが掲載されています。ネットで流れている「データ」はこの雑誌の資料から盗られているものも多いような気がします。雑誌を見れば一覧が掲載されているようなデータをネット上に一生懸命リストアップしている人がいますが、いかがなものでしょう。図書館などで古新聞を自分で調べてこそ意義があると思います。以前、ある番組の放映リストを作っているという方がどこぞの掲示板でそこの管理者に泣きついている姿を見たことがあります。「どうしても、わからないんです。ここしか頼るところはありません。」あまりの能力の低さが哀れだったので、管理者に代わって数年前の新聞の縮刷版を閲覧してリストを補完してやったことがありました。すぐに図書館で調べがつくことまで他人に頼ろうとしている。自分で調べもしないで、ファンサイトを作ろうというのは愚の骨頂です。そういうのを日本語で「他人の褌で相撲を取る」というのです。あの方のサイトは完成したのかしら。私が調べたことを自分の手柄顔で開陳しているのかもしれません。ちなみに「テレビジョンドラマ」は1993年に廃刊となったそうです。刑事マガジンや時代劇マガジンが発刊されている現在、隔世の感があります。「別冊テレビジョンドラマ 必殺20年のあゆみ」は今でも必殺ファンの座右の書です。

 隣の「活人」(1985年12月号)という毎日グラフ独特別冊も次の2号ですぐに廃刊になりました。(2号は美少年特集だったみたいです。)当時のビジュアル系アイドルのグラビアがてんこ盛り。表紙の彼女は小泉今日子。この世の春を謳歌すると言った無敵ぶりがその仕事に出ています。この頃に彼女はレントゲン写真や人拓なんかを出してましたね。雑誌の中身は少女文化を取り上げているわけなのですが、神足祐司氏の寄稿で「広告少女神話」という記事がありました。CFに見る女性タレントの棲み分け分布図が紹介されていて、興味深いものがあります。犬は庶民派アイドル、牛はセクシー系、鳥は不思議系、馬は超一流タレントのメタファーなのだそうです。今ならどのような人物名が並ぶでしょう。20年前には鳥だった武田久美子は、今は誰が見ても牛ですね。私はこのベクトルを歌手部門、女優部門、水着部門、バラエティ部門に置き換えて作り直してみたいとかねがね思っていたのですが、なかなかうまくいきません。

 仮に作ってみたのが、下の分布図です。時とともに各自の立ち位置は変わりますので、2004年7月当時の私感と言うことでご容赦ください。中心によるほどバラエティ向けというか、売りがないことになります。藤原紀香を中心にしていいのかという気もするのですが、四つのベクトルの度数を考えると、どこにずば抜けているとも現時点では思えませんので、ここではグランドゼロとしてみた次第です。私のヒエラルキーだと女優が一番偉いと言うことになっていますので、アイドルからスタートして、それぞれが女優の高みを目指して奔走します。その間に大きく左にカーブしたり、右にカーブしたりするわけです。コーナーを曲がりきれずに、右方向へそれて奈落へ行くケースが多いですね。奈落の底に落ちたのは小沢なつきで、底からスタートしてグランドゼロへ到達したのが飯島愛です。菅野美穂は確かに全裸写真集をだしたことがありますが、脱げる女優であることをセールスポイントとしたことはありませんので、脱げる度が落ち着いてしまっています。黒木瞳の場合は期待を込めて立ち位置をキープさせたという感じでする。奈落は右方向にだけ存在しているわけではありません。例えばグランドゼロはバラドルやモデルがすべて入ってしまう激戦区です。次々とタレントは消費される場所です。芸能人にとって一番怖いことは忘れられてしまうことですから、さすがは爆心地は芸能人たちが死屍累々としていると言うべきでしょう。

 なるべく若い女流芸能人を並べようと思ったのですが、私の手で完全版版は望むべくもありません。CMの女王タイプはこのクロスの中心に来ると思います。宮沢りえは紅白出場歌手でもありますので、見事な逆S字曲線を描いて現在の位置にいるのです。「木下あゆ美の女優度が上戸彩より低いなんて許せない。」などと御噴飯の方は、以下に白紙の女流芸能人分布図を置いておきますので、納得のいく分布図をご自分でお作りください。

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