特撮が主役のアクションという観点で言うと、雨宮慶太監督の作品が目立っている。最近は「鉄鋼機ミカヅキ」でとうとう実写スーパーロボット物を手がけてしまった。子供向きでないマニアックな作りが炸裂していて、「未来忍者機忍」以来のファンである私は大層喜んでしまった。ロボコンの時にはロビーナちゃんの方に目がいっていたのだが、なんつってもこの作品の見所は社長の活躍と懐かしの火星ロボットみたいな月光機の奮戦でしょう。子泣きじじいやセーラームーン、タイムファイヤーと言った具合に役者も充実している。高岡早紀は「バタアシ金魚」の頃から好きでしたね。彼女は「忠臣蔵外伝 四谷怪談」で大きくブレイクしたが、あれは特撮時代劇とはいいがたい。「機忍」にも「ミカヅキ」にも白鳥靖代が出ていますが、あの時のお姫様が今では地球防衛軍みたいな組織の隊長をしているんだから人には歴史がある。彼女の不運は中山美穂に似ていたことでしょうか。中山忍はもともとファンタスティック映画でデビューしたこともあって、すっかり特撮ヒロインとして安定した地位を確保してしまった。未来永劫、ギャオスの研究者として世界中の特撮ファンから指示されるだろう。しかしミカヅキは閉じた世界を描いた特撮大作でした。きっと30年後にハリウッドで模倣作ができるのではないでしょうか。
「ゼイラム」は1と2があるけれどどちらもスピーディでオリエンタルでいい感じです。イリアの魅力は2の方が成熟している。美少女というには無理があるがまあ美女アクションとしてはかなり安心して観ていられます。特にラストバトルの健康なお色気は魅力的である。エロに走らないクリエーターの気高さを感じます。特撮のイメージからすると敵の怪物がターミネーターぶりを発揮する1がスリリングでよろしい。資金さえあればせめて「バイオハザード」くらいの見せ方が出来たろうに残念でした。
閑話休題。先日、やっと雨宮監督の「タオの月」を観ました。私はなんとなく「ゼイラム3」は時代劇なのかと思いつつ、ずっと「タオの月」を追いかけていたのですが、なんともいえない珍作でしたね。「ゼイラム」に出ていたイリアこと森山祐子に関しては、あの無感情な台詞回しは演技が出来ないんじゃなくて、感情が全く表に出ない賞金稼ぎを演じている演技なのかと思っていましたが、「タオの月」を観て訳が分からなくなった。森山祐子は演技が出来ない人なのかも知れない。特撮物ではないが、長江健次主演の「潮風にとべ!! ウルトラマン」では深窓の令嬢といった役どころで、アイドルアイドルしていただけだったし、全く謎の人である。低予算の割には野伏せりの軍団なども大勢出て、活劇も楽しめたと思いますが、マカラガという怪物はまあゼイラムみたいなものだと思えばいいのかも知れないが、なんかグロテスクで格好悪く、悪の美に欠けました。ゼイラムや機忍に出ていた怪人の方が格好良かったと思います。もう少しマカラガの生態をゆっくり描ければ、リアリティが増したのだろうが、そうすると映画のバランスが崩れてしまうので、仕方がないところか。石井聡吾監督、浅野忠信主演の「五条霊戦記」も特撮アクションの範疇だが、「さくや−妖怪伝」と並んで2000年の邦画の最大の収穫でしょう。日本人の演じるアクションで一番様になるのは剣劇ですから、このジャンルはもっと大切にして欲しい。
雨宮監督で言うと後は「人造人間ハカイダー」。この映画ではパンチにイフェクトがついているのが当時としては新鮮でした。「仮面ライダーZO」は単品でよくまとまっている作品でした。高速のワイヤーワークが面白かった。残念だったのはゲストの宇宙刑事アニーこと森永奈緒美がまるで活躍してくれなかったことです。「仮面ライダーJ」は掟破りの巨大変身が売りでしたが、最後の敵が妙な物体だったのもあって、巨大ライダーアクションとしては納得がいかないし、出来映えもいまいちでした。ライダーアクションは等身大のスピード感にあるので、巨大感とはそぐわない。マッチしない。
特撮アクションというと後はホラー物にすり寄っていってしまうのですが、ホラーはそもそも嫌いですからあまり観ていません。「NIGHT HEAD」でブレイクする前の飯田譲治の「キクロプス」は観ました。阿藤海がターミネーターみたいな雰囲気で出てくる、グロテスクな映画でした。劇場版「エコエコアザラク」は4作品とも見ましたが、どれもぱっとしなかった印象です。黒井ミサという魔女の魔力はもっと圧倒的に強くてよいのではないかと思いました。そういう意味では一作目は「うっかり魔力を封印されてしまったので」という展開だったので理にかなってはいますが、菅野美穂の破顔一笑の迫力に負けています。カルト女優カンノの誕生として日本ホラー映画史に残るでしょう。黒井ミサは圧倒的な魔力を持った魔女として描かれるべきなのですが、それでは物語にならないのであの手この手で黒井ミサを苦しめて最後に勝利を得るというパターンをスタッフは考えるようなのですが、作劇的には「大魔神」風にするべきだと思います。ひとたび魔力をふるえば圧倒的な強さを見せる。これでなくてはカタルシスは得られません。大河原孝男の「超少女レイコ」は企画自体がなんだかよくわからない映画でした。一番怖かったのは年齢不詳の佐倉しおりの存在そのものだったかもしれません。
最近はやった「リング」シリーズはショッキングなシーンなどはありますが、特撮といえるほどのものでもありません。単に怪談話の延長です。気味が悪かったのは真田広之の肋骨と深田恭子の死に顔でしょうか。作りとしては三上博史主演のテレフィーチャー版の方が原作に忠実で、良くできていたと思います。古い話に戻りますと特撮アクションの範疇に入れて良さそうなのは「妖怪ハンター ヒルコ」。上質な青春ホラーアクション映画だと思います。勝新太郎や緒形拳が出ていた「孔雀王」シリーズもエリアル合成らしい光の洪水以外は観るべき箇所がありません。緒形拳は変な映画に出るのがつくづく好きらしいです。変と言えば仲代達也も「妖獣都市〜 香港魔界編〜」では日本ではお目にかかれないような怪演ぶりでした。とても世界のクロサワ組の主演俳優とは思えない。
宍戸開が主演した「8マン〜すべて寂しいよるのために」があったが、「8マン」は漫画には及ばない。造形が桑田次郎に追いつけない。ただサチコさんが清楚な美人だったという思いが残っていますが、一体女優は誰だったんでしょう。雰囲気は悪くはなかったし、高橋悦史は昔から好きな俳優でしたが、特撮が駄目だった。当時のビデオ合成はまだまだ鑑賞に堪えるレベルではなったのです。香港クルーの活躍といえば「帝都大戦」。全体的にこじんまりとまとまっているが、空中でねじ切られる兵士の映像に特撮らしさを感じた。「帝都物語」は内容はどうあれA級大作だったが、「大戦」はこじんまりとはしていたのでB級活劇として評価は出来ます。円谷プロの「超高層ハンティング」は超能力者の空中戦がメインなのだが、映像のイメージが貧困。ビデオ特撮の限界を感じさせてしまった。当時に比べれば今のハイビジョン特撮には隔世の感がある。原口智生監督作品の「ミカロイド」。装甲騎兵ボトムズみたいなデザインの旧日本軍の秘密兵器みたいなサイボーグによる地下室のような空間での暗いバトル。閉鎖的で、つらかったなぁ。毒蝮三太夫が警備員役かなんかで出ていたような記憶があります。
有象無象の美少女変身アクション、美少女ホラー路線とかあるようですが、さすがに見きれません。釈由美子主演の「修羅雪姫」は冒頭のトルネードアクションだけが素晴らしい。可愛らしい女の子にアクションをさせるというのは難しいのですが、頑張っていました。いずれは演技力も向上するでしょう。初期の「13日の金曜日」などに観られるようにホラーと美少女とエッチは切っても切れない関係があるようです。要するにB級作品にセールスポイントき手っ取り早く言えばエロとグロなのです。製作費の大半を大俳優のギャラに費やすのと、女の子を脱がすのと、どっちがその手の映画を見る観客にアピールするかというのは営業と現場、製作と監督の綱引きですね。美女の裸は、それはそれで特撮ビジュアルとは別な感動を呼ぶので結構なのですが、裸以外の時の演技があってこそ裸も生きるのですから、演技をする裸であって欲しい。とはいえ、女優さんはきちんと脱ぐべき時に脱がないと人生を踏み外します。
B級映画の「ターミネーター」で、リンダ・ハミルトンは脱いでいました。「トータルリコール」の時のシャロン・ストーンも脱いでいました。あっと「トータルリコール」は既にB級ではなかったか。超A級扱いの「ターミネーター2」では脱いでセールスになりそうな女優は出ていなかった。あの時のリンダがまた脱いでも、誰も反応しなかったでしょう。夫キャメロンの判断は正しい。唯一、全ての映画で脱いでいたのはシュワちゃんだけ。「T3」では女ターミネーターよりも堂々とした脱ぎっぷりでした。
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