お笑いは大好きだ。昔は当然、ドリフターズ。この間、CD「ドリフだョ!全員集合」を買ってしまった。今ひとつ、クレージー・キャッツの全盛期には乗り遅れてしまった。「全員集合」が半年ほど休止した後番組の「クレージーだよ 、出発進行」の時には、はっきり言って面白いとは思わなかったし、「シャボン玉ホリデー」と言えば、小松政男の映画監督と布施明の学生くらいしか覚えてない。あとラストにぼやきながら去るハナ肇くらいか。大瀧詠一を中心とした再評価の少し前に評価し直したが、この辺りの話題は古すぎるので別な機会にします。
といいつつ、もっと古くさく思われるかも知れないが、今好きなのは落語である。一年に一回、寄席に行けるか行けないかって程度なのが悲しいが、真打ち競演と爛漫ラジオ寄席は欠かさず聞くように心がけている。心がけだけではあるが。このところ真打ち競演と爛漫ラジオ寄席が同じ時間帯でぶつかってい。あれでは大河ドラマともぶつかって更に聴取率が下がるぞ。NHKは何を考えているのか。出演者から言えば爛漫ラジオ寄席の方がバラエティに富んでいるというのに。真打ち競演は演目がマンネリである。ラジオ名人寄席は貴重な番組だが時間帯が中途半端なので早くか遅くにしてほしい。
文楽は不思議と聞いたことがありません。好きな落語家は故人では、志ん生と圓生は別格でいいですね。昔は圓生が好きだったが、最近は志ん生がいい。志ん朝が亡くなって、残念でした。あの親父を向こうに回して頑張っていたのですから、まだまだこれからだったのに。漫才では千代若・千代菊はよかった。どこかに録音残ってないかなぁ。やすきよは今や伝説化しているが、やはりいいですね。漫才をしているときのあのやすしの幸せそうな顔。晩年が悲惨すぎたので、一層心に残る。やすしが憑依したかのようなサブローときよしの復活漫才には涙が出る。小さんが亡くなったのは残念。しかし彼も晩年、声が悪くなっていて、聞いているのがつらかった。柳昇は「カラオケ病院」と「祝辞」が面白い。よく寄席で見かけた文治ははずれがなく、面白かった。文治のネタは不思議と圓蔵と重なるが、文治の方が威勢がよく、本格的な気がする。私には枝雀の面白さが今でもわからない。
現役で言うと小三治。現役の噺家の中では一番好きかも知れない。小朝も流石に上手い。ぜひ、直に聞いてみたい。談志はあまり聞いたことがないので、正直言うとよくわからない。廉価の録音を出して欲しい。圓歌も面白いが、健康を取り戻して、「中沢家の人々」以外の新しいネタをラジオでもやってほしい。ラジオでよく聞くのは金馬と馬風。どちらも芸風がしっかりしていて、安心して聞ける。桂三枝の新作落語は花王名人劇場で見たっきりだが、文庫で読んでも面白い。今度、全集が出たみたいなので欲しいかも。映画はやりすぎだったけど、「ゴルフ・夜明け前」や「実況・源平」は傑作だと思う。上方落語では文珍。ちょっと知性派ぶりが嫌みに感じるときもあるが、私は好きである。二人ともヤングオーオー出身だったっけ。昇太は筋肉弛緩剤を点滴して殺人を繰り返していたHクリニックのM被告に顔が似ているが、なんで面白さが足りないんだろうか。落ち着いた重みが足りないせいかもしれない。しかし、最近の新作はやっと安心して笑えるようになった気がする。若手イメージから脱皮して、貫禄がついてきたのかもしれない。円丈は昔から面白いと思ったことがない。久しぶりに円丈の新作を聞いたが設定の説明が気になって、素直に笑えなかった。新作というと米丸だが、ちょっと年を取りすぎたか、演者の実年齢と話題とずれてきている。
テレビの人気者といいえばダウンタウンか。彼らは漫才もやっていてくれているが、漫才と言うよりはトークみたい。でも、悪くない。「笑う犬の冒険」におけるウンナンとネプチューンの合体はいい。コントは時間と手間暇をかけなくてはいけません。とんるずも「仮面ノリダー」あたりを嬉々としてやっていた頃はよかった。ナイナイは何故か好きになれない。スマップは平成のクレージー・キャッツを目指しているのではないかと思われる。ぜひ、健闘してほしい。遊平・かほりや京太・夢子などの夫婦漫才も面白い。漫談では堺すすむや春日三球、牧伸次、ケーシー高峰など相変わらず楽しい。昭和のいる・こいるもいいですね。こだま・ひびきもよい。Wもあもあもは時事ネタをストレートに演じておもしろかった。爆笑問題は別格で好きで、本も楽しいのだがテレビに出すぎである。島田伸介は司会で売れているが今が一番充実しているのではなかろうか。お笑いのタレントとしてのビートたけしはもう旬が過ぎていて笑えない。漫才や漫談をするパワーが落ちている。司会者としてもお笑いを引き出すという点ではそのゲストいじりの才能といい伸介に分があるようだ。
直に寄席で聞いた噺家の中ではどうか。橘家圓蔵は好きですが、偶々見た演目が「鰻の幇間」で、ちと後味の悪い出来だった。幇間が惨めすぎて笑えなかったので、あれでは失敗でしょう。ラジオでは「豆屋」にしろ「寝床」にしろ「反対車」にしろ「火炎太鼓」にしろあんなにいいのに残念だった。扇橋は酔っぱらって高座に上がっている時に出くわしたが、楽しい。歌丸は話が丁寧でよい。小遊三は話が雑。しん平の青いウルトラマンを見てずっこけたことがあったが、ウルトラマンコスモス(ルナモード)を先取りしていたようだ。以前、「お母さんといっしよ」に出ていた古今亭志ん輔は軽妙で、好感が持てるがまだ深みがない。円菊が楽屋口でファンと立ち話をする姿を見かけ、その品の良さに思わずお辞儀をしてしまった。まるでどこかの大学教授のようである。高座では景気回復、内需拡大のために廓を復活させようを枕に「幾代餅」をかけてくれた。ラジオなどでは女形ぶりが気持ち悪く感じていたが、百聞は一見に如かずだった。こぶ平が詰まらない漫談しかできなかった頃に会ったことがある。今はどうだろう。たい平は若さもあって面白い。林屋一門は威勢のいい高座が魅力だ。志ん五というと若い頃は与太郎話専門だったが、他の古典でもかなり面白い。顔が何となくとんねるずの石橋に似てきたようだ。文朝もずいぶん年を取ったが、噺が丁寧で描写力も優れている。「夢金」の雪の大川の雰囲気がよく出ていた。笑三や歌春も元気で充実している。雷蔵の宮戸川は丁寧で笑わせてくれた。悪い人が少しも出ていない噺というのは聞いた後が実に爽やかだ。
色物では当代の正楽。紙切りの「揺れてる」人ね。独楽回しの女楽。この二人の技術はさることながら話術が素晴らしい。鼻に紙テープを立てるボンボンブラザーズ。曲芸はいつ見ても素晴らしい。マジックよりも寄席で見て感動するのは曲芸ではないだろうか。太神楽の仙三郎・仙太も一人増えて仙三郎社中となった。それぞれの持ち味を生かしたさわやかな芸風だ。玉川カルテットや東京ボーイズとか、モダンカンカン等のボーイズ系の笑いはみなよい。太田屋元九郎はじょんがら節をきっちりと聞かせてくれる人でうれしい。青森弁の話術も温かみがあったよい。
寄席で見られる漫才はすべて面白い。。総じて芸術協会の人たちよりも落語協会の人たちの方が自在な気がするのは気のせいでしょうか。芸術協会の時は古典落語に偏りすぎて単調になってしまうような気がする。直に見る落語家さんたちはけっこうお年寄りであります。テレビはかなり若く写るんですね。数年前から吉本やNHK、民放が各社が若手芸人の発掘番組を多くプロデュースしている。次のエースはどこからやってくるだろうか。
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