フィールド缶蹴り

 子供の遊びを紹介します。

 城取という遊びは多くの人数が必要なので近所の子供たちだけでは迫力不足でしたので、小学校の休み時間や体育の時間などに遊びました。陣取りという呼び方もあるようなのですが、私たちは城取と呼んでいました。私たちが呼んでいた陣取りは古釘や石を使って地面に陣地を増やしていく遊びのことでしたので、ここでは城取という名称を使いたいと思います。体力に自身があろうとなかろうと、男の子だろうと女の子だろうとみんなが楽しめる遊びです。

 城となるのは立木であったり、ジャングルジムとか滑り台とかだったりと様々です。2チームに分かれて、それぞれを城、本陣とします。攻守同時に行われるわけですが、要は鬼ごっこみたいなもので、先に城から出た者は後から城を出た者に捕まってしまいます。捕まったものは敵の捕虜となり、敵の城につながれてしまいます。捕虜はそれぞれ手をつないで、手を伸ばして救援を待ちます。味方からタッチしてもらえば捕虜は生還。ただし、タッチされた捕虜よりも敵の城側の捕虜はまだ生還できません。つまり最初に捕まった捕虜は生還できません。城取の勝利条件は敵の城にタッチして敵の城を落とすことなのですが、敵を捕まえたり味方を救ったりすることが面白いので、城攻めよりも敵の殲滅が目的になったりしてしまいます。しかし最後の一人になっても捕虜を救出したり、城を取ったりするダイナミックな逆転も可能です。序盤戦の戦略や終盤のドラマチックな展開が興奮する遊びです。

 学校のロングホームルームのレクレーションでできるように思いっきりアレンジしたものが以下のルールです。人数があまりに多くなるとどっちが後から陣を出たかがわからなくなりますので、その点を解消すべく思いっきりフィールド競技のようにしました。缶蹴りの要素を入れたので城取と言うよりは缶蹴りっぽいゲームになっています。題して「フィールド缶蹴り」という名前ではどうでしょう。「鉄腕DASH!」の「百人探偵」(缶蹴り)をフィールド競技のようにしたイメージでしょうか。かなり戦略的なゲームになります。完全にコートの中に限定してルールをきちんと設定すれば競技会すら出来ます。学校や公園で遊ぶ場合はセンターラインだけを決めて、校舎の影に隠れながら背後をつくとかも出来ます。エキサイトしますよ。

「フィールド缶蹴り」ルール

競技人数

一クラス全員で行えます。二十人から四十人くらいの人数を二つのチームに分けます。男女混合可。

競技フィールド

サッカーコートを使います。(実際は何だってかまいません。校舎の南側と北側でもかまいません。そのくらい、大きなフィールドの方が楽しいかもしれません。見通しが悪く、互いに隠れる場所があっても楽しいですが、ここではスポーツライクにフィールドで行うこととして説明します。)人数によってフィールドの広さは限定した方がいいでしょう。ガキ大将がきちんと彼我の戦力を分析して、適切なチーム編成が出来るといいですね。

サッカーコートのペナルティーマーク地点にそれぞれ空き缶(又はボールなど)を置いて本陣とします。

空き缶から周囲半径三メール以内に円を描きます。この円内に守備側が常駐してはいけません。

センターラインの手前が自軍サイド、向こうが敵サイドとなります。

ゲーム開始前はセンターラインを挟んで握手なんかして始めるとよいでしょう。

自軍サイドか敵軍サイドかが重要なだけですので、コートの外に出てもプレイに支障はありません。

勝利条件

敵陣の空き缶(又はボールなど)を先に蹴ったチームが勝利します。

敵チームを全員捕虜とすれば、その時点で勝利となります。

制限時間をもうけた場合は、動ける選手が多く残っている方を勝利とします。

敵のとらえ方

センターラインの自軍サイドにいる敵にタッチすれば敵を捕虜に出来ます。

センターラインを挟んで敵味方で手を取り合い、味方側に引きずり込めば捕虜にできます。足が自軍サイトに着いている限りは捕虜となりませんので、二人がかりで引っ張り込みましょう。

捕虜について

タッチされた者はプレイをやめて捕虜となります。速やかに敵の本陣に行きます。

最初の捕虜は敵本陣の円に足を乗せ、座ります。2番目の捕虜は最初の捕虜と手を繋いで、味方のいる方に手を伸ばします。

捕虜は口頭でアドバイスする以外は、いっさいのプレイに参加できません。

捕虜は次々と手をつなぎ、ひたすら手を伸ばして助けを待ちます。

捕虜の解放について

捕虜の列のどこかに味方がタッチすれば捕虜は全員解放されます。

解放された捕虜と捕虜を救った味方は一旦、自軍サイドに戻るまで、ゲームに参加することはできません。彼らを捕らえることもできません。しかし、それ以外の選手はプレイを継続します。

その他

ルールはその場の取り決めでどのように変えても自由です。校庭全体を広々と使うのならば出城(セーフティゾーン。その中にいる限りは捕らえられることはない。)を認めると、よりスリリングになります。囮役になったり、印象の薄い人が裏側からこっそり近づく忍者役に徹するのも楽しい。城主を作って、彼が捕らえられたら負けという条項を加えてもよいかも知りません。人質の交換をしてみるのも良いかも知れません。エースを解放するためには一対五のトレードとか。囚われの美女、仲間を救うために犠牲となる者、危険を冒して敵陣に突っ込んでいく勇者、颯爽と現れるヒーロー、ドラマチックなゲーム展開を大人も子供も楽しんでほしい遊びです。このゲームの本来の姿は鬼ごっこがベースなのですが、勝ち負けをスポーツチャンバラ的なもの(新聞紙などで作った棒を持たせるなど)にするともっと合戦らしくもなります。本来の「城取」ゲームが子供たちにの間に復活し、ドラマチックな遊びが体感できるようになることを望んで止みません。

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